「我思う、故に我なり」
哲学者デカルトの言葉だ。
今の自分の自意識は確かに存在している、という意味である。
デカルトは「疑いようもない真実」を見つけるために身近なもの、
自分の肉体さえも疑った。
しかし、一つだけ疑えないものがあったのだ。
それは「今、全てを疑っている自意識の存在」である。
故に今の自分の自意識は確かに存在しているのである。
私がこれを初めて知った時は感嘆の声を上げたことを覚えている。
しかし、今は違う。
本当に今の自分の自意識は存在しているのか?
もしかしたら、これは自分の意識ではないのかもしれない。
他人の意識、意思を乗っ取っている、
もしくは乗っ取られていて、今自分は他人の意識を眺めている?のかもしれない。
今、自分の目の前で起きていることは実に不思議だ。
信じられないほど真っ暗、いや、真っ黒と例えたほうがいいだろうか。
あ、そうか。自分は今、目を閉じているのだ。
そうか。これは夢だったのだ。
とりあえず目を開けよう。
?
目が、開けられない。
いや、最初から目を閉じてなんかいなかったんだ。
自分には、目が、無い?
いや、何を考えているんだ。
手で顔を触り、確かめればいい。
あれ?なぜ?手が、動かない。
まさか。ないのか。腕が。手が。
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
なんなんだ?
涙も出ない。体も動かない。暗い。
そもそも、自分がだれなのかわからない。
自分には、何もないのか?
少し、落ち着いた。
冷静に考えろ。
自分には何もない?
そんなことはない。
まず、デカルトの言葉を知っていた。
デカルトの言葉を初めて聞いたときの記憶があった。
目があることを知っていた。
睡眠を知っていた。
腕、手があることを知っていた。
記憶が、ある。知識が、ある。
何もないわけじゃない。
自信がついてきたぞ。
まず、ここはどこだ?
暗すぎて、何も見えない。
いや、元々空間がないのか?
それでは、普通の人間だったら今頃窒息死しているはずだ。
おそらく自分は人間だったのだろう。
死んでしまったのだろうか?
いや、それはない。死んだら火葬される。
意識が残ってるなんてありえない。
いや、これだけ可笑しなことが起こるなのなら、
それもあり得るかもしれない。
私は死んでここにきた、ということか?
なんとも宗教的な話だな。
何かの宗教の話だと、
死んだ者の渡る道は4つ、だそうだ。
一つは神と同等の存在になる。
一つは地獄に行き、罰を受ける。
一つは転生し、別の命として、生まれ変わる。
もう一つは、何もなくなる。
この中で一番自分の状況に該当する道は、、、
__4つ目。
今自分が4つ目にいるとすると、
記憶がほとんどないのも、肉体がないのにも辻褄が合う。
しかし、とても信じがたい。
いや、何もなくなるのが嫌だからそう思ってるだけかもしれない。
三つ目の道もあり得る。
転生すると、前世の記憶がなくなるという。
だったら、転生の方が、いいなあ。
いっちょ、祈ってみるか。
前世ではそんなことした覚えないけど。
転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!転生したい!
ふう、結構長い間祈った気がする。
転生したいなあ。
できれば人間に。
ま、そもそも転生できるなんて根拠、ないけどさあ。
目が、覚めた。
夢?だったのか?
いや、先ほどと同様、自分がだれなのかわからない。
夢では、なかった。
でも転生したわけではなさそうだ。
確かに手はある。目も、ある。
それと、二つだけ分かった。
私は今、普通の男の大人の人間であること。
そして、私の名前。
苗字はわからないが、私の名前は、「かみざくら」
神に櫻と書く。
なぜ突然自分の名前がわかったのかはわからないが、
私の名前は神櫻。
今、いるのはベットの、上?
部屋だ。少しホテルみたいな洋風の部屋。
シャンデリアもある。豪華だ。
ここは、私の部屋なのか?
分からない。思い出せない。
窓だ。
そうだ。外だ。
もしかしたら人がいるかもしれない。
私がだれなのか、手がかりがあるかもしれない。
__?
なんだ。ここ。
自分が知っている「せかい」とはとてもかけ離れている。
何もかもが可笑しく、不思議だ。
この摩訶不思議な世界で、私は、いきていたんだろうか。
なんだろう。この感情は。
懐かしいような、寂しいような。
頬が、濡れている。
私は、あの暗い、誰もいないところで諦めず、進み続けた。希望を抱き続けて。
生きよう。
私はここで生きる。
そうすれば、きっと私が何者なのかも、ここがどこなのかも分かるはず。
進もう。いつか、何かが見えるまで。
ああ、眠い。
まあ、コーヒーでも飲めば眠気なんぞ吹っ飛ぶだろう。
まったく、自分の寝つきの悪さには心底うんざりする。
最近は眠すぎて記事を書くのにも支障が出てきた。
熱っ。
__よし、眠気は吹っ飛んだ。
さあ、あっちの世界に出勤だ。
えーと、あっちの世界に行くのって何度目だっけ。
おお、かれこれ████目か。
時間が経つのって早いなあ。
おっと、感傷に浸ってる場合じゃない。
早く行かないとまた叱られちゃう。
カードキー、持った。スマホ、持った。パソコン、持った。護衛用ナイフ、持った。よし。
さあ、行こう。
Compass、起動。

