回想:終焉、異世界、君と。
肺が…… 凍る。
でもペダルをこぎ続けなければ。
逃げなければ。
逃げるって…どこに?
空はもう炎の如く緋色に染まっている。
ただの夕日とは思えない。
何が起こるというのだ。
ただ、俺の本能が「逃げろ」って言っていることだけは分かる。
あ、そうだ。
「葵!大丈夫?」
「ちょっと…だるい」
声が、弱い。
他の社員も周りにいる人たちは皆、こんな調子だ。
だけど、もう、少しで。
「葵、もう少しで…」
…ここだ。このビル。ここから異世界に逃げることができる。
「葵、歩ける?」
「あ…私。無理。歩けない」
クソッ。階段を登れば逃げ切れるのに。
「九十九、もう、いいの。逃げて」
ここで、見捨てる?葵を?
…嫌だ。嫌だ。嫌だ!
「九十九?…え?ええええええええええ!?」
葵を担いで階段を登るのがこれほどまでにキツイとは。
だけど。ここを登れば…!
「…葵。これで…。逃げれる」
…? 葵?
「九十九。街が、壊れいく」
…鳴呼、世界が消えていく。
だけど、過ぎたことは仕方ない。
「…葵」
「うん」
行こう。次の世界へ。その世界がどんな世界かはわからないが
必ず、生きてみせる。
page revision: 2, last edited: 11 May 2020 13:16

